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英国退役空母は誰の手に?


2011年12月5日付け、法制晩報

英国退役空母

280万ポンドで英国退役空母アークロイヤルの競売に参加した香港船舶学会会長の李概侠は、3ヶ月前に英国海軍物資部から直接連絡を受け、李氏が落札したと伝えられた。

しかし、その後、予定された落札者公表の日程は延期に次ぐ延期で、最近の英国側の回答でも、恐らく年末に決定すると述べるに留まった。李氏は取材に対して、英国側の曖昧な態度にイライラしており、その原因は恐らく政治的な問題である可能性が高いとの見解を示した。

■落札の直接通知 ?

11月の最後の一日、上海はしとしとと冷たい雨が降っていた。英国退役空母アークロイヤルの競売に参加した香港商人李概侠は妻とともに浦東にある新国際博覧センターに姿を表した。ここでは、中国国際航海展示会が開かれており、李氏は購入する空母の改装設備を探して来ていた。

もともと、競売結果は10月より前に公表することになっていたが、いまになっても、遅々として公表されていない。

9月12日午後5時半、英国海軍物資部が李氏に送ったメールにはこう書いてあった。”アークロイヤルの落札者をお知らせするのが遅れていますが、国防部の承認を受けてから、正式に通知いたします。”

”私はたぶん自分がその落札者であると思う”と、李氏が言う。もしそうでなければ、わざわざメールを寄越すことはしないだろう。しかも、以前のメールは複数名に対する全員発信であるのに、今回は自分だけに送っている。

20数名の入札者の中で中国人は3名、李氏以外の2名はそれぞれ英国籍華僑の林建邦と国美(中国大規模家電量販店)の元社長である黄光裕である。前から、李氏は自分が落札できることに自信を持っていた。

■2度に渡る発表延期

李氏の入札価格は280万ポンドで、英国側は300万ポンド以上の落札価格を希望していた。なぜ280万ポンドなのか?李氏が言うには、アークロイヤルはもともとの重量は2万トンで、いろいろな装備を撤去したので、重量は1.5万トン程度で、廃鉄の国際市場相場は1トンあたり350ドルであるので、計算すると280万ポンドとなる。

入札価格が彼のより高いひとも複数いるが、英国側は水面下で李氏に対して”もう少し落札価格を上げれないか?”と打診している。李氏は誰にも負けない豊富な航海経験があり、彼の事業計画は詳細にして完璧であった。李氏が空母を見学する際、英国国防部はスタッフを派遣して同行した。これはほかの入札者にはない待遇である。

しかし、まるまる1ヶ月待っても一向に連絡がなく、李氏の心の中で燃え盛る希望の炎は、海の向こうの沈黙に打ち消されようとしていた。

10月12日、英国側からやっと2回目の連絡が来た。しかし、依然最終決定について触れてなく、ただ”年末までに結果を明らかにする”とだけあった。英国側のはっきりしない態度に李氏は苛立ちを隠さない。”既に2ヶ月遅れているから、私の計画が台無しになってしまう”。彼は再度英国女王に手紙を送り、不必要な心配をしないように訴えた。

■政治的問題で英副大臣が明言を避ける

近年、ヨーロッパの不安定な経済状態の影響を受け、英国海軍の予算は相次ぎ削減されている。2005年8月に空母インウィンシブル、2011年1月に空母アークロイヤルがそれぞれ退役し、イギリスは空母がない時代に突入した。同時に、退役した空母をどう処理するかも、英国国民の関心事となっている。

記者はイギリス国会の公式サイト「TheyWorkFor You.com」の中で、ある議員が11月29日に国会で、アークロイヤルを中国政府に売却するかどうかについて制約条件があるのか?と質問したのに対し、議会副大臣は即座にアークロイヤルを中国を含む他国政府に売却するつもりはないと述べている。アークロイヤルは非軍事的積載船として利用しようが、解体されようが、商業目的に利用されるべきであると。

当該副大臣は更に、英国政府は大量の入札資料を審査しており、いまのところ、まだ結論は出ていないとも述べた。

将来、李氏がこの空母を改装するにあたり、受注を狙っているドイツ籍MAN社のアジア地域営業担当楊維健は記者に対して、彼が入手した内部情報によると、英国側はこの取引が政治的問題に発展することを懸念し、だから遅々として結論を出せないと述べている。

■尾行され、妻は携帯番号を数度変更

李氏一家は上海のとあるホテルに入って24時間も経たないうちに、パパラッチ達に付け回された。11月30日夜、李氏は妻とロビーで宿泊延長の手続きをしている時に、男ひとりと女ひとりが彼にカメラを向けているのに気付いた。

”もう驚かなくなったわよ”李氏の妻が言う。李氏が空母競売に入札してから、自分が外出する際、誰かに付けられていることに気付き、携帯電話も盗聴されているようだ。外国人もいれば、中国人もいる。パパラッチを見付けると、すぐ顔を隠すようにしていたが、いまはもう慣れて、マスクをして外出することにしている。

李氏はまた呆れた事例を紹介してくれた。”ある日、イギリス側から電話があって、あなたの名刺に二文字足りないよ、と言われた。”

実は、彼が創立に関与した香港船舶学会の住所は香港新界区の沙田火炭拗背湾街45-47号、喜利佳大厦であった。英国側は「大厦」の前に「工業」が抜けており、これは事実詐称の疑いがあると指摘したという。”これは、英国政府が私のバックグランドをしらみつぶしに調べたことを意味しており、私が政府とこの件について関係があることを発見できなかったようだ。実際、関係はないけどね。”

”香港が中国に返還される前から、私は英国政府のために13年間も働いて来た。彼らがまだ私がどんな人間か、知らないのか?”李氏は香港水上警察の警長を務めたことがあり、引退後は香港船舶学会に加入し、豪華クルーザーの運転を教えたり、クルージング愛好家のためにクルーザーのレンタル事業を行っている。

■中国企業の大型取引は度々政治的な疑惑を掛けられる

”いま、メディアが派手に報道しているが、香港政府はこの件に対して静観している。”李氏が言う。”たぶん、彼らもこのような取引を経験したことがなく、本当に購入できてから動くつもりだろう。”

これは英国との取引であるが、李氏は裏でアメリカが関与しているのではないかと心配している。

”噂では、アメリカはこの取引に対して、イギリスに私に売らないように働きかけているらしい。”李氏はいま南シナ海の問題が緊張度を増しているから、アメリカは中国が軍事力を増し、アメリカの安全保障に影響を与えることが懸念している。だから、アジアでの影響力を維持するため、中国に対する包囲網を強化していると見ている。

言いながら、李氏は苦笑いした。半分あきらめながら李氏はこう付け加えた。”私は自分が香港人だから、イギリスはもっと協力的にやってくれると思ったのが・・”

中国企業と企業家の海外進出の道程はずっと平坦ではなく、いつも西側諸国側の障壁に遇い、政治的な疑惑を掛けられている。

最近では、中国人投資家黄怒波がアイスランドの土地購入が妨害されたのがその一例である。60%以上のアイスランド国民が投資を歓迎しているにも関わらず、アイスランド政府は黄氏の会社がアイスランドの投資規定に適さないと判断した。黄氏は海外投資の制限が多過ぎると嘆く。”これは明らかに冷戦の名残で、政治的な思惑が感じられる。”

また、アメリカ衆議院情報委員会は、華為や中興などの中国IT企業がアメリカで業務を拡大することがアメリカの国家安全に脅威をもたらすか、について調査すると発表した。これまでも、華為や中興はアメリカでの事業活動が度々アメリカ議員の指摘によって中止に追い込まれている。

■空母を遊覧用に改造し、甲板は現状維持

9月の取材に対して、李氏は空母改装の計画を詳しく説明した。

李氏は空母を遊覧船に改造する考えで、甲板は現状維持し、ほかの豪華クルージングと一線を画す。”これまでのクルージングは移動ホテルでしかなく、乗客はずっと豪華な客室に閉じこもるのではなく、乗客は(甲板のうえで)自然の波風を体感できる。甲板はキャンプ、コンサート会場、プライベートジェット機の離発着に利用できる。”

このほか、空母は海上で航海することが可能で、これまでの退役空母のように港に係留して眺めるだけではない。これは空母に新しい命を吹き込むことだ。

2002年以来、李氏は香港船舶学会のために空母を探していた。”私は戦争の道具だった空母を永遠に平和の道具に変えたい。”学会もこの空母にいい名前を用意している。アークロイヤル(皇家方舟)を「ノアの方舟」に改名し、軍事用艦船が平和利用に戻ることを意味する。

■5億香港ドルを投じて改装

業界関係者によると、クルーザー事業は90年代より成長し続けている自動車産業と似ており、今後20年間で黄金時代を迎え、クルーザー事業の市場規模は5年後に200億元となり、年平均成長率は40%程度になるという。

李氏は指摘する。毎年中国国内、日本及び東南アジアから4、5万人がクルーザー免許を取得するために香港を訪れる。しかし、香港の港湾はこれ以上のクルーザーを収容することができない。”現在、香港船舶学会は既に1000名の会員を有し、将来は8万人まで増えるだろう。”李氏は空母の改造後の収益性に対しても自信に満ちている。

エンジンだけでも、MAN社が李氏との商談では1780万ユーロを提示しており、競売で入札した280万ポンドを遥かに上回る金額だ(MAN社は値段交渉に応じるとしている)。李氏は、改装費用はおよそ5億香港ドルに達し、そんなに高いコストを掛けたのに、政治目的に変更することはありえないと述べている。

 

ソース:http://news.sina.com.cn/c/2011-12-05/180823578837.shtml

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