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重い社会保険負担


2011年12月9日付け、新京報  

社会保険問題

写真:11月15日、山西省長治市城西路、数名の農民工がバスを待っている。市外から働きに来る彼らにとって、企業で十分な社会保険を受けることは難しい。

■問題の本質

11月15日、人社部は「社会保険料の申告・納付に関する管理規定(草案)」を発表し、社会保険料納付において、5種保険の強制加入を義務付け、その中の労災保険と育児保険は新たに追加された保険である。

称賛喝采の中で、ひとつ無視してはならないことがある。我が国の社会保険料負担は、給与所得の40%以上となっており、世界的に見ても高いレベルである。これは企業の負担増につながり、結果的に給与カットやリストラの原因にもなっている。

中国の社会保険基金がほぼ空の状態で、どうやって企業の社会保険料を軽減するかが、当面の現実的な課題となっている。

■社会保険法は5種保険の強制加入を定める

以前は育児保険と労災保険は強制加入ではあったが、保険料の納付方法に関する規定が未整備であった。

そのため、市外出身というだけで育児保険に加入できないケースは、北京ではよくあることだった。

北京市統計局のデータによると、2005年から2010年までの間、北京市育児保険加入者数は154.1万人増加し、加入者数は392.1万人にのぼった。しかし、医療保険や養老保険と比べると、加入者数はまだ伸びる可能性がある。ちなみに、医療保険と養老保険の加入者数はそれぞれ1000万人を超えている。

人社部の統計データでは、我が国の育児保険加入者数は、保守的な予測をしても1.5億人を超える計算になるので、まだまだ普及目標から程遠い状態である。

この他、労災保険も現在加入者数は全国で1.62億人であり、第十二次5カ年計画では、労災保険の加入者数は2.1億人が目標なので、6000万人届かない。

上記の育児保険と労災保険の加入率はまだ高くないのが現状で、先月の草案で5種保険の加入率を高めることにつながると、人々の注目を集めている。

法律の側面から見れば、育児保険と労災保険は、養老、医療、失業保険と同様に、強制加入の保険である。

この5種保険は、国際的に認めれている5大社会保険である。11月18日、精華大学社会保障センター主任の楊氏の解説によると、育児保険に関する法規定は1994年まで遡ることができ、元労働部が発表した「企業社員育児保険試行方法」がそれである。

しかし、この試行方法は部レベルの法律で、これまで、育児保険を更に高いレベルの法律で定めることはなかった。

法律のレベルが高くないと、強制力にも限界が生じる。もっと重要なのは、この条項の適用範囲自体にも制限があることだ。

北京市人社局のブログで医療保険処の責任者の説明によると、「企業社員育児保険実施方法」は市内企業及び市内出身の社員にだけ適用されるという。

このように、各地域の実施方法は各地の実情に合わせて実行されるので、多くの地方都市は市内戸籍の社員のみを対象としており、市外出身の社員は対象外となってしまう。

当該責任者は、北京市の育児保険もそのようなやり方で、適用範囲は北京市戸籍の社員に限定しているという。

労災保険に関する法律は、もう少し整備されている。

2004年1月1日、「労災保険条例」が正式に施行された。これのもととなっているのが、1996年に元労働部が発表した部規定である「企業社員労災保険試行方法」である。

労災保険の強制加入は、農民工の利益を守ることに大きく貢献した。

楊氏の説明では、「労災保険条例」が施行されて5ヶ月後、元労働部は更に安全計画を開示し、3年以内に危険作業を伴う企業は農民工の労災保険を全額負担することを求めた。

しかし、育児保険と労災保険は法律上強制加入となっているが、保険料の納付方法まで明確に定められていなかった。

元労保部が1999年に発表した「社会保険料申告納付管理暫定方法」と、同年国務院が発表した「社会保険料徴収暫定条例」では、強制加入とされている養老、医療、失業の3保険に関わる納付手続きを定めているが、育児と労災は含まれていない。

今回の草案は明確に5種保険の強制加入を定めたもので、昨年施行された「社会保険法」を受けた受けたものである。

”これまで法律の空白部分があり、社会保険法が遅々として策定されなかったのが原因でした。”楊氏は、我が国の社会保障の基本法となる「社会保険法」で、明確に養老、医療、失業、労災、育児を5大社会保険と定めるだけでなく、社会保険料の徴収方法を詳しく定める必要があるとの見解を示した。

今回の人社部が公表した草案は、まさに社会保険法で定められた保険料徴収の具体的な手順を文書化したもので、5種保険に関する法律体系を完成させるものである。

■強制加入の賛否両論

草案が公表されたあと、活発な議論が行われた。

国務院の公式サイトは、12月8日までに、人社部の草案に寄せられたコメントは1191件にのぼり、件数では3番目に多い。一番多いのは、今年5月に開始された「社会保険法」の規定に関するパブリックコメントを求める掲載で、コメント数は1390件であった。

多くの人々は懸念を示している。

一部の社員が心配しているのは、保険料の増加は収入を圧迫する要因になるのではないかということ。更に、多くの企業は、人件費負担の増加を心配している。

養老保険の保険料は、企業が支払う給与の20%であり、5種保険でトップであり、確かに負担は大きい。北京市内にあるネットカフェの陳副社長は草案に高い関心を寄せている。

いまでも企業の社会保険負担が重く、今後更に2つの保険が加わると、企業はその負担に耐えられず、社員の給料を減らすことで相殺するしかなくなる。

首都経済貿易研究センター呂主任の解説によると、いま、中国の各種社会保険の割合はこのようになっている。

養老保険の保険料は給与の20%で、8%が本人負担で、残りの12%は会社負担。

医療保険の保険料は給与の10%で、8%が会社負担、2%が本人負担。

失業保険の保険料は給与の3%で、2%が会社負担、1%が本人負担。

労災と育児保険の保険料は給与の1%程度で、すべて会社負担となっており、個人負担はない。

しかし、ある民間企業の人事部に勤める林さんは自社の社会保険料負担を計算したところ、労災保険と育児保険が加わると、実質会社負担は社員給与の30%、社員本人負担は給与の11%となった。地域によって社会保険料負担がもっと高いところもあり、給与の50%にも達する。

これは世界レベルで見ても、高いレベルにあたる。2011年の全国会議の中で、工商聯は我が国の社会保険料が高いことを指摘し、世界125カ国を調べたところ、社会保険料が40%を超える国は、わずか11カ国で、その殆どが先進的な福祉国家である。

現在、中国の社会保険負担はドイツ、アメリカ、日本、韓国等の国より高い。全国工商聯は、我が国の中小・零細企業が全体の99%を占めており、重い社会保険負担は、将来の経済発展にマイナスの影響があるとの見解を示している。

 

ソース:http://news.sina.com.cn/c/2011-12-09/023623601400.shtml

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