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(座談会)公費飲食を無くすことができるのか?


2012年2月7日付け、人民網

公費飲食

<ゲスト> 国家行政学院法学部副主任 楊小軍、北京師範大学管理学院教授 王建民

編集部:最近、公費で飲食する風潮は目に余ると、多くの人々が思っている。周りを見渡せば、公費で飲食しないひとはいない。幹部は幹部の飲み食いがあり、現場は現場の飲み食いがある。景気のいいところは景気のいいところの飲み食いがあり、貧しいところは貧しいところの飲み食いがある。公的な理由だろうが、個人的な理由だろうが、支払の名目さえあれば、みんな公費で支払う。公費飲食の氾濫は、どこにその原因があるのか?

楊小軍:公費飲食の風潮は社会に蔓延している。昔からの風習という一面もあれば、官僚的なやり方という一面もある。この2つの要素による相乗効果で、深刻な腐敗が蔓延し、呆れた言動や機嫌取りが横行している。例えば、上司が視察に来た場合はよく持てなし、接待する;上司に報告する場合は宴会を設定して敬意を示す;協力会社間の研修交流の場合は飲み会で親交を深める;外で商談する場合はパーティーで誠意を見せる。さらに、公費での飲食の多くは汚職と大いに関係し、グレーな汚職につながる場合が多い。

王建民:公費での飲食がまかり通ってしまうのは、権力と利益の取引に起因するものだ。権力の腐敗は取引から始まり、取引はニーズから生まれる。食べることを大事にする伝統を理由に、権力を握る者は食卓に招かれる。”何を食べるかは重要ではなく、誰と食べるかが重要である”、”どのぐらい飲んだかではなく、肝心なひとが満足したかが大事である”。しかし、ひとの欲求は絶えずエスカレートする。これが公費での飲食がどんどん高級になり、費用も高くなる主な原因のひとつである。

編集部:ある不完全な統計データによると、中国の公費飲食費用は、1989年の370億元で、1994年は1000億元を突破し、2002年は2000億元、2005年は3000億元の大台に乗った。この驚くべき数字を見ると、嘆くばかりである。これに対して、庶民からも叱責の声が上がり、党政治部門も頻繁に禁止令を出している。それでも、いろいろな名目での公費飲食は絶えることはない。

楊小軍:商慣行や風習は、その一面でしかない。制度上の問題が本当の要因である。公費飲食ができることを保証する財務制度がなく、役人たちは自費で飲食しなければならないとなれば、ここまでエスカレートすることはなかっただろう。財務制度の欠陥が、公費飲食の主要原因である。いまの財務制度は公費飲食を認めている。公費飲食は、会議費、出国費、研修費、調査研究費、科学研究費などの名目で経費処理できる。

王建民:公費飲食の背景に、巨大な利益の連鎖が存在し、それが腐敗の文化を醸成している。幹部が、公費飲食を使ってコネクションを作ったり、投票を集めたりして、いわゆる人脈関係を作る主な手法となっている。公費飲食がすんなり財務部門、チェック部門、監査部門の目をかいくぐることができたのは、領収書でこれらの「黒い」出費を洗浄しているからだ。経費処理制度の不完全さが公費飲食を野放しにしている。

楊小軍:このほか、監査部門も責任がある。汚職は犯罪であり、これは法律で明らかに定められている。公費飲食は浪費であり、この浪費も犯罪と言っていいが、一向に改善される兆しがない。たくさんの通達文書を出し、公費飲食を規制しようとしたが、効果がないばかりか、逆に更にエスカレートしている。最終的な原因は、監査部門の責任である。監査部門が機能しないから、公費飲食が横行してしまう。

編集部:統計では、新中国が成立してから今まで、我が国が公表した禁止令は100項目を超えた。関連部門も公費飲食に対する規制もどんどん細かくなったが、表面は従順の振りをして馬耳東風で、日増しにエスカレートしている。百枚も超える赤紙(通達)は、なぜひとつの口さえ管理できないのか?

楊小軍:百を超える赤紙通達で公費飲食を規制しようとしたのは、我々は断固とした態度でこれに臨むことの現れであるが、同時にこれらの通達はあまり効果がなかったことを示している。公費飲食を規制するには、普通の通達や繰り返し強調するには限界があり、制度や法律に基づいて厳罰する必要がある。

王建民:多くの公務員は、”汚職でもなければ、賄賂も貰ってないなら、飲み食いするぐらいで、どうして罪になるのか?”と思っている。関連の法律・規定にも穴がある。ひとつは、多くの禁止令は道徳倫理的な内容が多く、具体的な責任追及などを定める規定は少ないので、実行性がない。もうひとつは、財政予算が不透明で、予算の幅が大きく、各レベルの公務接待基準も曖昧なことが、基準を超える公費飲食を許している。

楊小軍:公費飲食を規制する通達は少なくない。足りないのは、これらの通達の厳格な実行を保証するための法治環境と法治文化である。以下の面から実行すれば、公費飲食を根絶することができる。

まず、財務制度の改革。その一、全ての財政資金使用部門、国有企業と国がコントロールする株式会社などは、財務制度に公費飲食の科目を設け、ほかの項目に紛れている公費飲食を全て洗い出し、統計を取り、公費飲食の実態とその費用を明らかにする。その二、公費飲食に上限を設ける。1回の飲食の上限や、総額の上限を設け、飲食のエスカレートを無くす。その三、財務科目の中にある飲食関係の科目は、必ず参加者と飲食のメニューを添付することを義務付け、それがないと請求できないようにする。そうすれば、公費飲食の実態を透明にすることができる。その四、公費飲食は原則的に飲酒やタバコなどを禁止する。

次は、監査という「日の光」を当てること。飲食費用、参加者と食事メニューに関する情報を公開し、監査を受ける。日の光は一番いい防腐剤であり、飲食横行を抑止する最良の方法である。我々はずっと内部監査を実施して来たが、それはあまり効果がないことが分かった。効果を求めるなら、情報公開が不可欠で、社会に対して情報公開することで、公衆が監視できるようにする。

もうひとつ、行政責任を追求する。公費飲食を抑止するには、上層幹部の飲食を抑制することが鍵である。関連規定に違反し、飲食に参加した幹部とそれを許可した上層幹部のルール違反、職務不行き届きなどの行政責任を追究する。同時に新聞メディアの監視機能も活用する。

編集部:数年前、ある全国人民代表大会(日本の国会に相当)の代表が、全国人民代表大会常務委員会に「収賄や公費飲食の規制に関する提案書」を提出し、公費飲食は社会の財産を食い潰すことであり、これに対して法律で規制し、合わせて刑法改正で浪費罪を追加すべきと提案した。2009年10月、浙江省舟山市の地方裁判所で、汚職収賄の罪で、岱山県高亭鎮中心衛生院院長である傅平洪が11年の有罪判決を受けた。傅平洪は個人的な飲み食いに公費44万元(約550万円)を不正利用し、法廷で全て汚職金額と判定された。この裁判で、飲み食いに刑事処罰がないという通念を破った。刑罰を厳しくすることで、公費飲食を抑止することはできるのか?

楊小軍:厳罰で公費飲食を抑止する手法は、既に海外で事例があり、我が国でも事例がある。法的責任の追究は最後の決め手となるだろう。具体的に言えば、3つの観点から法的責任を問うことができる。一つ目は、公費飲食罪を設けること。基準を超える公費飲食をした場合、刑事処罰を課すことを可能にすることで、やり放題の公費飲食を防ぐことができる。参加した本人だけでなく、その上司も罪を問うことができるようにする。二つ目は、基準を超えたが、金額が大きくないケースに対して、法律で個人が負担することを定めること。請求済みの場合は、払い戻しをしなければならない。三つ目は、経理処理を偽装して公費飲食した場合は、汚職罪として法で裁く。公費飲食の請求は、違う名目で請求していることが多い。公費飲食に対する処罰が厳しくすると、偽装するケースが増えるので、この抜け道も塞がなければならない。

王建民:通達がないがしろになってしまう場合、法的処置が必要になる。一旦、違法行為が起きれば、それに対して厳罰を与えることで、違法行為の代償がそのメリットより大きいことを知らしめることができる。「業務上必要な経費」というカゴに何でも放り込む今の社会風習の中で、公費飲食罪を設けることで、公費飲食が刑事処罰の対象になり、その行為を抑止する効果が期待できる。

楊小軍:もちろん、公費飲食罪を設けるだけではなく、それと同時に財政の透明性と監査制度にも力を入れなければならない。公費飲食を規制することは、基本的に行政権力の運用方法の問題である。行政検査の権限を、宴会の円卓ではなく、事務室の机の上で大いに発揮しなければならない。法整備する前に、各行政レベル、各部門における公費支出の現状を詳細に調査する必要がある。だから、法律を作ることは複雑な作業であり、その過程で難しい問題に直面することもあるだろう。我々は冷静にこれらを見守る必要がある。

 

ソース:http://news.sina.com.cn/c/sd/2012-02-07/045623891689.shtml

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