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カード偽造被害に銀行が全額賠償


2012年4月9日付け 網易新聞

2012.4.9キャッシュカード

キャッシュカードを持っている本人は広東省珠海市にいるのに、1万元(約13万円、1元=約13円)以上の金額がロシアで引き落とされる。こんな不思議な事件が、珠海市に住む孫さんの身に降りかかった。

キャッシュカードを使ってATMで現金を引き出す際、何者かにスキミングされた疑いがあるとして、孫さんはカード発行元の珠海市農村信用合作聨社南湾信用社を訴えた。

珠海市香州区裁判所での審理により、本件は銀行がセキュリティ義務を全うしていないために市民の口座から現金が盗まれたものとして、銀行が損失の全額を賠償すべきとの判決が下された。記者が調査したところでは、キャッシュカードの複製器はインターネット上で大量に販売されており、安いものはわずか800元(約10400円)程度だった。

昨年9月10日の夜8時すぎ、孫さんは同僚と共に市内のあるホテルで食事をしていた。すると、突然、口座からデビットで現金を引き落としたことを知らせる携帯メールが、たて続けに2本入った。孫さんは財布を確認したが、キャッシュカードも身分証明書もきちんとある。最初は詐欺メールだと思い、カード発行銀行に電話で確認したところ、銀行側も“カードが手元にあるのなら、現金を盗られることはない”と返事をした。

しかし、ほっとする間もなく、再び続けて4本の同様のメールが届いた。わずか20分ほどの間に6回も引き落とされ、デビットの口座から約10070元が消えた。孫さんは直ちに通報し、銀行にも電話で連絡すると、確かにロシアでカードから現金が引き落とされており、銀行はこのカードの口座を即時凍結した。その後、孫さんはカード発行元である珠海市農村信用合作聨社南湾信用社を訴えた。

■中央銀行:磁気式カードは安全性が不十分

孫さんの弁護士である謝沢崗氏は、近年、キャッシュカード犯罪の立件数は年平均50%以上の規模で増加しているが、IC式カードが普及していないことも重要な原因のひとつだ、と指摘する。現在流通しているキャッシュカードの多くが旧式の磁気式カードで、大量生産のコストはわずか1元。セキュリティ機能は低く、大した知識のない者でも、複製器を使えば簡単に磁気データをコピーできる。

中国の中央銀行である中国人民銀行は、1997年にはすでに磁気式カードの安全性の低さを指摘しており、複製しにくいIC式カードの普及推進を要求していた。中国人民銀行は昨年3月、磁気式カードは技術が簡単で情報が容易にコピーできるため、カードの偽造やカード情報を盗用する事案が頻繁に発生していることを発表した。そして、“第12次五カ年計画(2011~2015)”期間中、キャッシュカードのチップ化を加速し、IC式カードを増発するよう求めた。

■銀行業監督管理委員会:IC式カードはコストが高すぎる

しかし、銀行業監督管理委員会がメディアのインタビューに応えたところでは、チップ式ICカードのコストは1枚あたり20元~30元かかり、すべての磁気式カードをICカードに変更すると、そのためのATM機の改造に1000億元(約1兆3000億元)の費用が必要となり、実施は非常に難しい。現在、一部の銀行で発行しているICカードは主に富裕層が対象で、例えば中国工商銀行では、“デビットでの利用が年間10万元以上で、年間24回以上”や、“預金額が100万元以上”などが条件だ。

警察も市民に対し、ATMで現金を引き出す際、機械の周りにカメラや不審物がないかどうか、特にカード差込口に不審な装置がつけられていないかどうかを注意したり、暗証番号を入力する時に手で隠して見られないようにする、などの注意を促している。

■孫さん:キャッシュカードが容易に複製できるのは銀行の責任

孫さんは、“キャッシュカードは常に携帯しており、きちんと保管している。身分証明書も一度も失くしたことはない。それなのに預金がロシアで盗まれたのは、明らかに、ATMで現金を引き出した時に犯罪者にスキマーで暗証番号と磁気データを読まれたせいである。これほど容易にコピーできてしまうのは、銀行側に安全管理の落ち度があるためで、損失に対する責任を負うべきだ”との考えから、銀行を訴えた。

孫さんの弁護士は、“既存のATM機と磁気式カードはどちらも銀行が提供しているものなのに、銀行は適切な設備でカードの真偽を識別しておらず、そのため、偽造カードで市民の預金が犯罪者に盗まれた。この情況において、銀行は明らかに十分なセキュリティ管理の義務を果たしているとは言えない”と主張し、銀行はセキュリティ機能のより高いICカードを積極的に導入し、預金者とカード発行機関の安全を保証すべきだ、と訴える。

■銀行:預金者の使用が不適切

これに対して銀行側は、“銀行のシステムは預金者のキャッシュカード情報と暗証番号設定に対して厳重且つ十分なセキュリティ対策をとっている。孫さんはカード発行後、少なくとも121回使用しており、使用時には毎回カード情報と暗証番号を読み取るため、全ての場合で情報漏洩の可能性がある。銀行はすべてのATM機の上部に監視カメラを設置し、注意喚起の張り紙を貼って、利用者に操作時の注意を促し、安全にカードを使用するよう呼び掛けるなど、十分なセキュリティ義務を果たしている。この情況において、孫さんの預金が失われたのは、孫さんの暗証番号の保管や使用が不適切であり、孫さんに責任がある”、と反論している。

■裁判所:銀行は全額を賠償すべき

珠海香州区裁判所で審理の結果、“孫さんは銀行にキャッシュカード作成を申請した際、双方には合法的で有効な預金契約関係が成立しており、法的保護を受ける権利がある。銀行は預金と融資の業務を行う専業の金融機関として、顧客の預金の安全を確保する義務があり、発行したキャッシュカードには真偽鑑別能力を備えるべきである。同時に、技術的手段によってデビットカードの複製や偽造を予防すべきであり、本物のカードを持つ利用者が暗証番号を使用して行う各種取引のみを顧客本人の行為と見なし、偽造カードによる取引は、たとえ同じ暗証番号を使用しても、それを顧客本人の行為と見なしてはならない”、との見解を示した。

裁判所は、カード発行者の珠海市農村信用合作聨社南湾信用社は、孫さんに損失の全額を賠償し、併せて、普通預金金利に基づいて利息を支払い、裁判費用も銀行側の負担とする、との最終判決を下した。

 

ソース:http://help.3g.163.com/12/0409/07/7UKQ0VS400963VRO.html

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