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有給休暇は“絵に描いた餅”


2012年4月28日付け 新華網

2012.4.28有給休暇

中国で『従業員有給休暇条例』が導入されて、すでに5年が経過している。“有給休暇があっても休めない”サラリーマンたちは、より有給休暇が利用できるように、声をあげた。

■休暇制度に存在する不平等

北京のとある会社に勤める楊さん。「二日前までは、アモイのコロンス島で休暇を過ごすことを楽しみにしていたのに、突然、新規業務を命じられて、GWが吹っ飛んだ。入社以来、もう9年も正月休みすら取っていない。仕事漬けで自分の生活もないし、休日出勤しても手当ても付かない」と語る。

自身の“休日の苦悩”を語る楊さんだが、彼の姿から、楊さんと同じような“苦悩”を抱える人々が多くいることがうかがえる。サラリーマンにとって、残業は当然のことで、休暇は背任行為なのだろうか?

有給休暇は法で認められた労働者の権利であり、中国では2008年から『従業員有給休暇条例』が施行されている。しかし、調査によれば、有給休暇を利用できているのはわずか3割以下で、4割以上の人々が自身の休暇取得現状に不満やあきらめを感じている。このことが、春節休暇の延長や法定休日数を増やせという意見の引き金となっている。

政府の労働部門や一般のサラリーマンへの取材から、有給休暇には不平等現象が存在していることがわかる。

1:規模の小さい会社は大きい会社より有給休暇が取りにくく、民間企業は国有企業や外資企業、公務員より取りにくい。大企業は法を遵守する意識が強く、コスト増に対応する能力も高い。広東省のある電器工場の工場長は、「率直に言って、うちのような作業員十数人の小さな工場に有給休暇などあるはずがない。この業界は競争が熾烈で、生きるか死ぬかなのに、休暇なんて言ってたら、工場はどうするんだ?」と語る。

2:専門性が高く、人材が不足している業界も有給休暇が取りにくい。江西省のある銀行の融資部門責任者は、「金はあってもヒマがない。銀行の融資業務はプレッシャーが大きく、残業は当たり前。一人ひとりに重要な担当業務があって、誰かが休暇を取ったらチーム全体の業務に影響が出る。それに、上司だって昼夜なく働いているのに、出る杭になって打たれたい人間なんていない」と語る。

3:肉体労働の職種は頭脳労働より有給休暇が取りにくい。労働力は過剰状態で、労使ともに休まないことを望んでいる。北京のある不動産管理会社で清掃作業をする女性は、有給休暇という言葉すら知らず、会社側も伝えたことはない。ある時、父親が重病になって休暇を願い出たところ、マネージャーに「実家に帰るのは構わないが、戻っても仕事の保障はない」と言われた。彼女は「あの時我慢したら、一生涯の悔いが残るところでした」と語る。

南京市の労働監察支部の統計によれば、2011年に同支部では約1万件の問い合わせと相談を受け、約3千件が立件された。このうち、有給休暇の権利に関する内容は22%を占め、相談者の90%が民間企業従業員だった。同支部の総合課課長は、「民間企業では有給休暇を確保するのは難しく、休めば給料が引かれるのが現状だ。訴え出た者以外にも、表面化していない状況は数多くあるだろう」と語る。

■従業員は黙って耐え、雇用側は知らぬ振り

有給休暇が立法化されても、企業はなかなか実施しない。権利を主張する法的根拠があっても、訴える者は少ない。有給休暇が労働法に加えられて何年も経つが、いつまでもこのような堂々巡りをしている。

「自分がいなくなっても会社は困らない。自分から今の待遇を捨てることはできない。」会社員は自分の生活と仕事の現状を考え、休暇を取ることが自身の業績や昇格に影響することを恐れて、有給休暇の権利を明確に主張することはせず、自ら放棄してしまう。

北京市藍鵬弁護士事務所の楊乃超弁護士は、「中国の労働力は構造性過剰状態にあり、一部の産業では顕著な就職難が起きている。労使間の地位が不平等なため、一部の労働者は休暇を放棄してでも仕事を確保したいと考える」と分析する。

北京の外資企業に勤めるある男性は、「有給休暇を取ることが難しく、十数日の有給休暇が取得せずに消えたという、従業員側の不満ばかりが聞こえてくる。どの会社が従業員に未消化分休暇の手当てを出した、という話はほとんど聞かないし、さらに言えば、違法行為で会社が処罰を受けたという話も聞いたことがない。法律を守らなくても、企業にはリスクがほとんどないことが分る」と語る。

江西省社会科学研究院の麻智輝研究員は、「法律面では、企業がこの法律に違反しても具体的な処罰規定はない。そのため、違法による企業のリスクは小さく、有給休暇の取得問題は、人間関係の問題になってしまっている」と分析する。

こうした状況に対して、前述の南京市労働監察支部課長は、「表面上、従業員は黙って耐え、一部の雇用主は知らぬ振りをしているが、しかし、雇用主も決してそれに安住してはならない。退職を考えている従業員や、すでに退職した従業員が有給休暇補償を請求する主力になっている」と語る。南京市労働監察支部では、有給休暇に関する案件のうち、70%以上が“事後請求”されたものだ。

従業員側は、「権利擁護の道は険しく、権利の主張に失敗すれば仕事を失うことになる」、「有給休暇の取得問題は、企業側の態度が消極的なためだ。有給休暇が取れれば職員はみんな喜んで、職場の雰囲気はもっとよくなる。わずかな投資で大きな利益になる」と語る。

南京市労働組合本部法律業務部の魯健部長は、「労働組合における労働者の権利擁護支援業務の重点は、いまだに基本的な生活保障と経済的権利確保の段階にあり、有給休暇の問題はまだ十分に重視されていない」と語る。

■制度を確立し、良いサイクルを作り上げる

調査対象者の3割しか有給休暇を利用していない場合から、ある有名企業で従業員に「頑張る宣言書」にサインさせていた場合まで、さまざまな状況がある。このような有給休暇の自主放棄は、いずれはサラリーマン過労死や職場のうつ病となって現れる。一つひとつの数字や事件は、命の尊重に対する警告であり、有給休暇取得問題の根本的原因に対する挑戦でもある。

専門家は、次のように指摘する。有給休暇制度を着実なものにするには、雇用側、労働監察部門、労働組合、従業員が共に努力する必要があり、まず、相応の監督メカニズムと権利擁護メカニズムを確立する必要がある。労働組合の制度建設を強化し、特に制度の確立とその実施を強化する。労働組合が従業員の休暇計画を積極的に把握し、従業員の権利が侵害された時には、全員で協議する体制を作り上げる。また、諸外国における従業員の有給休暇制度の実績を採用することも可能だ。たとえば、スウェーデンでは、仕事についていれば、年間25日の有給休暇が法律で規定されている。5年間繰り延べでき、最終的に取得できない場合は、協議の上で給与補償に転換することもできる。

楊乃超弁護士は、「有給休暇を労働契約書の一項目に書き入れて、労使双方の権利と義務を明確にし、企業側が確実に実施すると同時に、従業員側も放棄しないようにするべきだ」と指摘する。

南昌大学人文学院の許亜荃准教授は、「健康的な休暇という文化理念を作り上げ、雇用側に労働と休息との相対関係を十分に意識させ、休暇権利を十分に尊重し、有給休暇制度を徐々に良性スパイラルに乗せることが必要だ」と指摘する。

 

ソース:http://finance.ifeng.com/news/macro/20120428/6395356.shtml

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