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中国企業家の”隷属根性”について


2013年04月09日、宋文洲@中国新聞週刊網

11無錫の尚徳が破産を宣告した時に、この文書を書こうと思った。しかし、数十億元(約数百億円)の損失を出した国営企業の会長が破産のことについて聞かれると、”こんな楽しい場所でそんなことを聞くなよ!”と答えたという。これに対して、頑張って納税している庶民たちは、やりきれない気持ちを噛み殺すしかない。確かに、豪華な奢侈品展示会で、この国営企業のボスに機嫌を損なうような質問をするのはどうかと思うので、やはりここでは民間企業のことに話を移そう。

私は国内でたくさんの企業家に会った。そして、いつも彼らには拭いきれない”隷属根性”を感じる。彼らは最も重要視するのはいつも政府であり、消費者ではない。この嫌な空気は、国が経済を独占しているから、企業家が”お上”の顔色を伺うしかないからなのか?それとも、企業家の経営手法が未熟で、政府の力を借りてしか生き残れず、それが利益をあげる唯一の道のためなのか?分からない。

政府の護送に守られる企業リーダーたち

国内企業家との交流の中で、彼らには共通の認識を持っていることに気付いた。それは、必ず政府と良好な関係を作らなければならない、政府の戦略を充分理解しなければならない、できれば政策のトップを走り、躊躇してはならず、乗り遅れるのはもってのほか、という考え方である。

よく考えてみれば、それにも一理ある。中国は計画経済から改革に着手し、すべての資源や機会が政府の手中にあった。政府が手を緩めれば、チャンスは少し増える。もし企業家がそれを逃さずに奪わなければ、そのチャンスは他社に取られてしまい、企業が生き残ることが難しくなり、競争条件は更に厳しくなる。

実際、大多数の企業リーダーたちは、自身の才能以外に、彼らの成功の最も大きな要素は政府とつながっており、政策や土地、資金、人材などでバックアップを受けられることにある。ただ、我々は彼らを嫉妬する権利はない。なぜなら、我々も同じような形で政府とつながる可能性があるからだ。チャンスを手にしたひとと、手にできなかったひとの違いだけだ。

中国の多くの企業は、名義上はIT企業やフランチャイズ企業と謳っているが、本当の競争力はほとんど不動産事業にある。例えば、政策の最先端を走るあるIT企業は、施正栄(元尚徳会長兼CEO)のような”スター”を使って、各地の地方政府から建設用地を獲得する。スター企業の進出は、それに追随してたくさんの企業がその地域に進出する可能性を秘めている。地方政府は形だけスター企業から用地費用を徴収し、本当の利益はあとから来る企業からガッポリ稼ぐのである。

政府の手にはまだ大量の資源と機会を握られている。企業家が比較的弱い立場にあるこの時代では、資源調達と経営効率の角度から、政府に寄り添うのは合理的な選択である。

しかし、政府の手中にある資源と機会は段々少なくなっている。消費者の発言力がどんどん強くなる中、企業自身の経営でしか競争力を維持できない時代に突入している。政府は既に以前の神通力を失っており、政府におんぶに抱っこで生きて来た企業は、段々苦しい局面に追い込まれる。

政商型企業の終焉

尚徳は無錫政府が支えて来たスター企業で、かつて”成功モデル”としてもてはやされた。施正栄本人は、かつて個人資産23億ドル(約2200億円)で中国人資産家トップに上り詰めたが、実際は、彼はただ政府が市場を弄ぶコマのひとつでしかなかった。盛り上がってる時は威勢が良かったが、一旦熱が冷めると目も当てられない状態である。

尚徳のバックに無錫政府がついていることは誰も知っている。彼らが進出したのは既に形成されて久しい市場であり、悪性な競争が起きやすい状況である。国営企業などを使って出資し、創業わずか5年の企業をニューヨーク市場に上場、4億ドルの資金調達に成功させることができるのは、政府機関だけである。これによって、施正栄は政府機関に選ばれた幸運なひとから一躍中国トップの富豪になり、太陽光発電業界のビルゲーツと呼ばれるようになった。

ただ、本物のビルゲーツは政府と関係を作ることはあまりやっていないようだ。政府から補助を受けたこともないのに、マイクロソフトは受けた出資金の使い道に困るほどだった。その後、米国政府からマイクロソフトが独占禁止法に抵触するとの警告を受けても、ビルゲーツは怯まず政府と法廷で戦った。

自分の力で米国ナンバーワンの金持ちになったビルゲーツは、出張の時はファーストクラスに乗らず、ハンバーガーをかじりながら社員と会社の将来について語る。それに比べて、我々の政府に頼って大きくなったヒーローたちは、外出に高級車を連ねるだけでなく、こともあろうに国家元首のマネをしてボディーガードをつける始末だ。もちろん、これらの費用は決して自腹ではない。

無錫政府が支えた施正栄は富豪トップとヒーローの称号を受け、彼は自然と、政府のサポートがあり、国と銀行の資金支援があれば、行くところ怖いものなしと思うようになった。彼は莫大な資金を使って市場で博打を打てるのは、最後に負けのツケを払うのは彼ではないことを知ってるからだ。”儲かったのはオレとお前のモノ、負けたのは政府と国のモノ”、これこそ政商たちがヒーロー気取りできる根底の考え方である。

市場には市場のルールがある。個人だろうが、政府だろうが、市場を弄ぶ者は、必ず市場から見放されることを、市場は繰り返し証明して来た。結局、市場は尚徳に対して、無錫政府に対して、その背後の国有銀行に対して最終判決を下した。市場は政商たちに終焉の鐘を鳴らした。これは企業の成長チャンスを告げる鐘であり、更に消費者にとって福音である。この鐘をもっと鳴らそう!

 

ソース:http://viewpoint.inewsweek.cn/columns/columns-3239-p-1.html

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