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移民問題が中国経済の足かせに


1“移民”、かつてこの言葉は極少数の文化水準が高い人たちの間で議論されたテーマだった。いまは中流階級を含むもっと広い層の人たちの間でも身近な話題になっている。世界銀行は5年ごとに行う国別移民状況に関する統計から、2000年以降中国移民はずっと変わらず流出傾向が続いていることが明らかになった。しかも流出人数はひと桁増え、百万の大台に乗った。2009年から2013年の間、世界銀行の統計では中国移民は全体で150万人の流出となり、インド、バングラデシュ、パキスタンに続く4位となった。

かつてあった2回の移民ブームは単純労働者や海外留学生などに集中していたが、中国がいま直面している第3次移民ブームの主役は高度技術者人材や巨額の資産や高度な経営経験を持つ高所得者層が中心である。移民は”技術移民”が主だったが、最近は投資移民も日増しに増えている。この人材+資本の流出が経済成長に転換期をもたらし、景気下降の要因になる恐れがあることから、中国はいままさに”移民の危機”に直面していると言っても過言ではない。

 

グローバルな視点から見る中国移民危機の外的要因

グローバル的に見て、収入格差が移民の流れを決定付けている。国別移民分布を見れば、アメリカ、カナダ、オーストラリアとヨーロッパなどの先進国が移民の主な目的地となっており、一方、中国、インド、アフリカ、南米は主な移民輸出国で、収入が高い国は依然収入が低い国にとって揺るがない魅力を持っている。

技術移民はハードルが高く、投資移民が増える傾向にあるのは、先進国の移民政策によるものである。先進国は自国の収入、社会福祉、環境などを強みに、カナダ、オーストラリア、シンガポールなどに代表される国のように、技術移民のハードルを高くし、より素質のいい移民を確保することで、自国の人口構成を改善し、生産性を高めようとしている。

一方、ヨーロッパの国々に代表されるように債務負担を軽減するため、投資移民の制限を緩和し、海外の高所得者層を受け入れることで、経済回復を図ろうとする国もある。ただ、国内産業への打撃を懸念し、単純労働者の移民には厳しい制限を設けている。

この政策が中国に与える影響は深刻である。一方で高度な人材が流出することで、中国国内の労働力と資本の総量を押し下げ、生産性改善を妨げ、先進国との距離を広げる恐れがある。もう一方で、単純労働者の国内滞留は雇用と社会保障の問題をもたらし、産業構造改革を妨げる。

 

中国移民危機の内的要因:地域間格差

地域間の経済発展による格差は移民流出の内的要因である。近年、我が国の地域間格差はさらに広がった感がある。

一方で、地域間の収入格差が労働力を発展が進む地域に向かわせ、発展が遅れている地域が“経済低迷ー人口流出ー消費下降ーさらなる経済低迷”のマイナススパイラルに陥る。2003年のGDPトップ5地域とワースト5地域の平均一人当たりGDPの差は21023.8元(35万円)だったが、2012年にこのギャップは48557.8元(82万円)となり、230%も広がった!

もう一方で、発展した地域は人口集中によって、エネルギー問題が突出し、渋滞や大気汚染などの大都市病が深刻さを増している。さらに重要なのは地域格差の拡大に伴い、政策の舵取りの難易度が高まる。最も代表的なのは所得配分政策で、不動産税や相続税が代表する資産収入の再配分政策の行方が今後の焦点となる。

以上の2点から高所得者層の国に対する帰属感が薄れ、移民志向に傾きつつあった。丁度そのタイミングに海外諸国が移民政策で救いの手を差し出したので、そこで一気に移民に動いた。

いまの中国はまだ投資に頼る重工業の時代で、資本密集型産業が主力産業で、経済効率はまだ低く、それが環境問題が悪化の一途を辿ることでも現れている。中国はまだクズネッツ曲線(※)の臨界点を迎える前の段階で、つまり平均所得が高い地域で逆に所得格差がさらに大きくなる。

ただ、ジニ指数分布の研究では、高所得者が多い発展した地域内のジニ指数は発展が遅れている地域よりも低いことが分かっている。この逆の動きは移民輸出が発展地域の所得構造に与えた影響と考えられる。

 

資本流出:加速する移民の流れは経済下降の要因に

投資の増加傾向が逆方向に向かおうとしている状況下、移民に伴う資本流出は経済下降の潜在要因になりうる。労働力、資本、土地は製造産業の3大要素。いま中国経済がアーサー・ルイス(二重経済提唱者)が言う転換点に差し掛かっており、市場金利の自由化と相まって労働力の総供給量が減少するなどの構造問題が現れている。

国内貯蓄額も下降曲線に入り、これは安い労働力と資本供給に頼る時代の終焉を意味し、我が国の経済が下降曲線に入ると予測する重要な根拠である。

予測では、現状毎年高所得者の移民は潜在的にGDPを0.5ポイント押し下げる。前述の分析によると、今回の移民ブームは主に高度技術者人材と高所得者であり、後者は個人資産600万(1億円)〜1000万元(1.6億円)以上のグループを指す。

「2012年中国高所得者消費動向白書」にあるように、2012年の中国高所得者数は270万人に達し、平均年齢は39歳。彼らの平均所有資産は4900万元(8億円)以上で、主に東部沿岸部と中部発展地域に集中し、調査では約50%の高所得者は投資移民を検討し、その中10%は移民を決めたと答えている。

高所得者300万人、平均所有資産5000万元、先の調査から投資移民を決めたひとの割合が10%として計算すると、海外に流出する資産は15兆元(250兆円)になる。平均年齢39歳だから、30年スパーンで計算すると、毎年流出する資産は約0.5兆元(8兆円)。仮に移民しても中国国内で事業を継続し、国内と海外の割合を50%と仮定しても、毎年移民による資金流出は約2500億元(4兆円)で、資金流動分だけを見ても、GDPの0.5%に相当する規模である。

 

【用語解説】
クズネッツ曲線・・・経済成長と所得分配の関係については、いわゆるクズネッツ曲線として知られている関係がある。経済成長の初期の段階では、経済成長の波に賢く、うまく乗って、資産と所得を拡大する人と、乗り遅れて没落する人との二極分化が起こり、経済の不平等度は拡大する。やがて経済が成熟し、一人当たりGNPが高くなってくるとともに、賃金上昇や政府による所得分配政策などによって、成長の恩恵が低所得層にまで及ぶので、不平等度が縮少してくる。

ジニ係数・・・ジニ指数とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態で、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。

 

元記事:http://finance.qq.com/a/20140116/004624.htm

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